フリーランスになるなら絶対に知っておきたい!開業届を提出する5つのメリット
本業のすきま時間を使って、副業を始めようと思うのですが、「開業届」はやはり提出した方が良いのでしょうか。
困っている人
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
●開業届とは何か
●開業届を提出するメリット、注意点
●開業届を提出するタイミング
●開業届(書類)の作成方法
本記事の信頼性
この記事を書いているボクは、約20年にわたるサラリーマン生活にピリオドをうち、現在は主にフリーランス軽貨物ドライバーとして活動しています。
前職の会社に在職中から、休日・すきま時間を使い副業で軽貨物の仕事などをスタートさせていました。
サラリーマンの身でありながら、自分自身の気持ちの区切りをつけるため、令和元年5月1日(元号が令和に変わった日)付で開業届を提出し、サラリーマン兼個人事業主に。
それから1年後には会社を退職し、脱サラ起業を果たして2年が経とうとしています。
この記事は、開業届を提出した当時、いろいろと試行錯誤した経験をもとに書いています。
※ねこえもんの詳しいプロフィールは…
今回は、これから副業やフリーランスとしての仕事を始めようと考えているあなたに
●開業届を提出するメリット、注意点について
●どうすれば簡単に開業届を作成、提出できるのか
を分かりやすく解説していきます。
実を言うと、開業届は税務署に提出せずとも、フリーランスとしての仕事はできますし、最悪の場合、未提出であっても特に罰則などはありません。
しかし、開業届を提出することによるメリットは大きいし、書類といっても「開業freee」を利用すれば、ネットであっけないくらい簡単に作成できますので、本気で副業やフリーランスでの独立を考えている方には、開業届の提出を強くおすすめします。
この記事を読み終える頃には、あなたもきっとフリーランスとしての第一歩を踏み出していることでしょう。
それでは、また記事の最後にお待ちしています。
得られるメリットと注意点をしっかりと理解した上で、開業届を提出しましょうね。
ねこえもん
開業届とは
そもそも開業届とは、いったい何なのでしょうか。
開業届とは、一言で言うと、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類です。
個人事業主(フリーランス)になると、事業をとおして出た利益に対して、所得税や、規模に応じて個人事業税が課税されます。
また、消費税の課税事業者に該当する場合には、消費税の申告書を提出し、納税する必要があります。
所得税・消費税は国税として税務署に、個人事業税は地方税として各都道府県税事務所に納める税金です。
このため、それぞれの税務当局に対して個人事業主として開業することを報告する必要があります。
そのための届け出が開業届です。
税務署に対する届出を「個人事業の開廃業届出書」と言い、これが、いわゆる「開業届」にあたるものです。
また、都道府県税事務所に対する届出は「個人事業税の事業開始等申告書」と言います。
いずれの届出も、提出しない場合でも、罰則は特に定められておりません。
特に後者の「個人事業税の事業開始等申告書」に関しては、確定申告をすると都道府県に自動的に通知がいくため、届出を提出しない方もいるようです。
開業届を提出する5つのメリット
まずは、開業届を出すことによって得られるメリットについて見ていきたいと思います。
メリット①:青色申告による特別控除が受けられる
こちらが開業届を出す最大のメリットになると思いますが、税金が安くなるメリットです。
開業届を提出しなくても、「白色申告」で確定申告を行うことはできます。
しかし、開業届と一緒に、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出することにより、
1o万円または65万円までの特別控除ができる「青色申告」ができるようになります。
例えば、個人事業主には38万円の基礎控除がありますが、青色申告することによって
「38万円+65万円=103万円」まで年間所得から控除できる」ということになります。
青色申告による税制優遇を受けるには、「複式簿記」による会計、「貸借対照表」「損益計算書」の作成などの知識が多少必要になりますが、所得税と住民税が安くなるのは大きなメリットです。
複式簿記の専門知識がなくても、クラウド型の【会計ソフトfreee】などを利用すれば、知識がなくても手軽に作成することができるのでご安心ください。
メリット②:副業でも事業所得にできる場合がある
本業を辞めて、自分の事業1本で生計を立てていくなら、開業届を税務署に提出することで、比較的容易に事業所得として認められます。
事業所得には青色申告ができることや、「純損失の3年間繰越し」「給与所得などの損益通算」などお得になる制度が利用できるメリットがあります。
継続的に続けている仕事で、本格的に労力や経費を費やしていて、社会一般が事業として認識できるか、ということがポイントになります。
本業の傍らに、片手間のお小遣い稼ぎ程度で得ている収入だと、「雑所得」として判断されます。
本業を上回る収入を継続的に得られる副業で、精神的・肉体的に取り組んでいる内容なら、税務署が事業所得として認めてくれる可能性もあります。
ただ、本業の給与所得だけで、十分に生活できるレベルだと、基本的には「雑所得」に区分されることが多いかもしれません。
メリット③:屋号を利用して事業用の銀行口座を作成できる
開業届を提出していれば、自分が決めた屋号で銀行口座を開設することができます。
個人口座と事業口座を明確に分けることで資金管理がしやすくなり、確定申告もスムーズに行うことができます。
事業規模が小さいうちは、プライベートと混合していてもそこまで問題はありませんが、いずれ大きく成長したときには事業口座も必要ですね。
また、個人名で資金を振り込むよりも、屋号で振り込みを行った方が事業としての実感もありますよね。
事業口座は誰でも簡単に開設できるものではありませんが、今後は事業用の銀行口座を持ちたいと考えている方は、開業届を提出しておきましょう。
メリット④:小規模企業共済の退職金制度を利用できる
個人事業主やフリーランス向けに、自分の身を守る手段として「小規模企業共済」というものがあります。
会社員の退職金制度のようなものですね。
毎月7,000円~7万円までの500円単位で積み立てることができ、掛け金は「全額所得控除」されるメリットがあります。
20年以上加入していると、掛け金に対して100%以上の解約手当金を受け取ることが可能です。
小規模企業共済に加入するには「開業届の控え」または「確定申告書の控え」が必要になります。
小規模企業共済で積み立てた掛け金は、基本的に「一時金」方式で受け取ることができ、退職所得として控除されるので節税効果もあります。
毎年の節税効果を高めつつ、将来的に事業を廃業または引退したときの資金を確保できる制度なので、個人事業主やフリーランスの方には嬉しいメリットですね。
メリット⑤:事業者としてのモチベーションが高まる。
これは精神的な面ですので、個人差があるのかもしれませんが、開業とは新たなスタートラインに立って前進する大きな人生のターニングポイント。
ここをしっかり実感することで、高いモチベーションを持って事業に取り組めるんじゃないかと思います。
ボクの場合、まずは本業をしながら、最終的には独立して自分の事業だけで生活していこうと考えていたのですが、ついつい本業が忙しいなどの理由で、自分に甘えてしまう部分もありました。
しかし、税務署という正式な場で開業届を出すことによって、「これでついに個人事業主になったので、絶対に成功する!」という強い意志が芽生えました。
だからこそ、「開業届を提出する」という行動がとても重要なんだと感じました。
開業届を提出する際の注意点
開業届は、ある程度の所得があれば、基本的には提出しなければならないものなので、デメリットと考えるのは少し違うのかもしれませんが、以下のような注意点がありますので参考にしてください。
注意点①:失業保険が受取れなくなる可能性がある
開業届を税務署に提出するということは、新しく事業を始めていると判断できるので、失業状態ではないので、失業保険は受取れない可能性があります。
会社の倒産や契約期間の満期などによる離職、自己の意思による退職によって失業した場合、再就職を不安なく行うために支給されるもの。
簡単に説明すると、失業中の一定期間は生活に必要なお金を支給してくれる制度です。
失業保険は再就職に向けた支援金のようなものですね。
失業中かつ再就職に向けた活動をしていないと失業保険は受け取れません。
開業届を出すということは、すでに事業を開始していて再就職する必要がないと判断できるので、失業保険は受け取れなくなると考えておきましょう。
注意点②:確定申告をしないと、税務署から注意される場合がある
確定申告は基本的に
■専業の場合:年間所得38万円以上
■副業の場合:年間所得20万円以上
これだけの所得(収入-経費)がある場合、確定申告をしなければいけません。
開業届を税務署に提出している以上は、「事業者であることを証明」しているわけですから、確定申告していないと税務署から連絡がくる可能性があります。
もし税金の支払い義務があるにも関わらず、確定申告をしていない場合は「脱税」となって重い罰則を受けることに…。
なので、開業届を提出しているかは関係なく、確定申告が必要な所得を得ている方は確実に申告するようにしましょう。
開業届を提出するタイミング
さて、ここまでは、開業届を提出することによるメリット・注意点などを見てきました。
ボク個人的には、当初より失業保険をもらおうとか一切考えなかったし、そもそも本気で独立を考えているなら確定申告は絶対に必要なことなので、それなら早めに出しておいても何の問題もないかなと思いました。
以下では、開業届を出すタイミングなどについての「よくある疑問」を見ていきたいと思います。
開業届を税務署へ提出するタイミング
実は、開業届を提出するタイミングは特に気にする必要はありません。
いつでも好きな時期に税務署へ行って提出すれば良いです。
というのも、開業届には「開業日」を記載する項目がありますが、自分の好きな日に決めることができます。
例えばボクの様に、「令和元年5月1日を開業記念日にしよう!」と思えば、その日を開業日にすればOKです。
なので、開業届を税務署に提出するのは自分のタイミングで全く問題ありません。
青色申告する場合は提出するタイミングに注意
税制優遇の高い青色申告をするためには、「所得税の青色申告承認申請書」も税務署に提出することになります。
この青色申告用の書類は提出するタイミングによっては、次年度まで青色申告ができない場合があります。
2021年度分の所得は、2022年2月16日~3月15日までに確定申告を行います。
ここで青色申告するためには、2021年3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出している必要があります。
つまり、2021年12月時点から提出しても、2021年度分の所得に関しては青色申告ではなく、白色申告するしかないということですね。
ただし、新規開業なら「開業日から2ヶ月以内」に提出すれば、2021年度分から青色申告することができます。
「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」は、開業日に合わせて2枚セットで税務署に提出するのが間違いないと思います。
副業でも開業届を出す必要があるか?
ボクの場合もそうでしたが、本業でサラリーマンをしながら、副業を続けている方もたくさんいらっしゃいますよね。
そこで年間所得が20万円以上になりそうだから、開業届を提出しようか考えている方も多いでしょう。
先にご紹介したように事業所得として認めてもらえれば、青色申告による税制優遇に加えて、給与所得と損益通算できるメリットがあります。
ですが、副業収入の規模や継続性、費用や労力のかけ方などによって、事業所得とは認められない可能性があります。
本業による安定収入を得ながら副業も続けていく場合は、開業届を出しても「雑所得」として申告することになるかもしれません。
また、開業届を一度提出してしまうと失業保険が受けられない可能性もあるので、副業のみで生活できるレベルでないなら開業届を出すかどうかは、今一度検討してみてください。
開業届を出すと会社にバレる?
開業届は原則として「マイナンバー」を記載して提出します。
この情報が会社にバレてしまうんじゃ…と心配されている方もいらっしゃるようです。
ですが、あくまでも税務署に提出するものなので、開業届を出したからといって会社にその情報が伝わるようなことはありません。
会社にバレてしまう問題点として有り得るのは、住民税の増減になりますね。
住民税の納付は給与から天引きされる「特別徴収」なので、本業+副業の収入が記載された税額が会社に通知されることが原因です。
ですが、これも確定申告時に副業収入を「自分で納付(普通徴収)」にすることで、バレるリスクを減らすことができますので安心してください。
ただ、仮に副業収入が事業所得で申告できた場合、給与所得と損益通算することができるので、副業の赤字を相殺すると全体的な住民税が安くなります。
本業の収入額が同じなのに税額が安くなるのは不自然ですし、これによって「給与以外の収入があるのでは…」とバレてしまう可能性がありますね。
なので、副業禁止の会社で働いている方は、その点十分注意しておきましょう。
開業届はネットで超簡単に無料で作成できます。
これまで見てきたとおり、「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」は同タイミングで作成して、提出するのがベストです。
この2種類の書類はお住まいの地域管轄の税務署に行ってもらうか、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。
しかし、書類が手に入っても、どうやって書いたらよいのかがわからないので、自分で作成しようと思うと結構な手間なんです。
そこで、もっと簡単に作成するために、開業に必要な書類を一括作成できる「開業freee」を活用しました。
これ、ホントにめちゃくちゃ便利です!
○開業に必要な書類は無料ですべて作成できる
○簡単な質問に回答するだけで自動作成
○提出先税務署も地図で確認できる
○郵送の場合も必要情報を用意してくれる
開業freeeで自動作成した後は、プリンターで印刷してマイナンバー記入とハンコを押したら完成。
あとは所轄の税務署に郵送するだけでOKです。
ものの数分で、あっという間に驚くほど簡単に作成できます。
これから開業に必要な書類を作成される方は、無料の開業freeeをぜひ活用してみて下さいね。
開業届を提出したら確定申告の準備をしよう
開業届を提出するということは…。
翌年の3月15日までに確定申告を行う準備が必然になります。
とはいえ、いきなり自分の力で確定申告を行うのは難しいですよね….。
税理士に頼むのが一番手っ取り早いんですが、右も左もわからないうちから依頼するのもハードルが高いですし、何よりコストが最低でも月2万円程度はかかります。
そこで多くの個人事業主やフリーランスの方が利用しているのがクラウド型の「会計ソフト」です。
会計ソフトはクレジットカードや銀行口座と連携して自動入力できたり、申告書の作成をサポートしてくれるので、記帳の手間と時間を大幅に削減することができます。
会計ソフトは早めに導入しよう
とりあえず、確定申告の時期になってから会計ソフトを使おう…と考える方もいるんじゃないかと思います。
ですが、開業した時点から会計ソフトは使用しておくのが望ましいです。
会計ソフトがあればクレジットカード情報などを自動取得できますが、クレジットカードの取引履歴は数ヶ月分しか残らない場合もあります。
また、一度にまとめて処理するにしても、過去にさかのぼって何の支払いかを確認するのは相当な手間…。
会計ソフトは記帳の手間を削減できるとはいえ、使い方には慣れておくに越したことはありませんし、余裕をもって早めに導入しておきましょう。
初心者向けのおすすめ会計ソフト
今までに簿記の知識や経験がまったくない方でも、クラウド型の『会計ソフトfreee』を使用すれば大丈夫です。
しかも開業届の書類作成時に開業freeeを利用された方であれば、申請時の情報がそのまま引き継がれますのでとても便利です。
◆青色・白色申告書を含む様々な書類出力が可能
◆口座連携で勘定科目を自動推測してくれる
◆レシート・領収書を自動解析して入力できる
◆Windows・Macで電子申告ができる
◆メール・チャットサポートが利用可能
会計ソフトfreeeは、初心者でも直感的に使えるようデザインされていて、効率良く使えるように考えられています。
会計ソフトは有料プランで利用するのが基本ですが、機能制限付きで「無料プラン」も用意されています。
無料プランでは確定申告書類を印刷できませんが、取引データの自動取得・管理やメール・チャットサポートなど、一通りの機能は使用できます。
オプションを利用すると、電話サポートも受けることが可能です。
また、freee公認の税理士を無料で紹介してくれるサービスもありますよ。
まずは会計ソフトfreeeがどんなものか、実際に体験してみることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
それでは最後に、もう一度おさらいしておきましょう。
開業届を提出する際のポイント
○青色申告による特別控除が受けられる
○副業でも事業所得にできる場合がある
○屋号を利用して事業用の銀行口座を作れる
○小規模企業共済の退職金制度を利用できる
○事業者としてのモチベーションが高まる
☓失業保険が受け取れなくなる可能性がある
☓確定申告をしないと税務署から注意される場合がある
開業届を税務署に提出することで青色申告による節税効果があったり、将来を考えた退職金制度を利用できたりするメリットがあります。
とはいえ、これから本業と副業を並行してやっていこうと思っているなら、事業所得にできない可能性があるので注意が必要…。
開業届は提出する義務はありますが罰則はないので、副業の所得が少ないうちは特に意識する必要はないかもしれませんね。
開業届のメリットが得られるのは、生活できる水準を維持できる安定した副業収入のある方や、今後は個人事業主やフリーランスとして起業する意思のある段階の方です。
事業を始めるなら、青色申告の特別控除だけでも大きな魅力。
開業届と合わせて、「所得税の青色申告承認申請書」もしっかり提出しておきましょう。
開業届の書類作成は、簡単に作成できる開業freeeを活用しましょう。
これであなたも晴れてフリーランス(個人事業主)の仲間入りですね!
一緒にフリーランス人生を楽しんでまいりましょう!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。