みなさんは『水五訓』という言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか?
あの天下人、豊臣秀吉の知恵袋といわれた、天才軍師、黒田官兵衛の教えです。
『水』というものを通して、人間としての生き方を教えてくれる言葉で、迷ったときの道標として、座右の銘とされている著名な経営者もたくさんいらっしゃるそうです。
ボク自身もこの水五訓から、サラリーマン管理職としての仕事のすすめ方について改めて考えさせられました。
本当に良い言葉ばかりなので、ボクなりの解釈もあわせて、みなさんにご紹介したいと思います。
様々な『水』の流れ、その性質をイメージしていただきながらお読みくださいね。
水五訓① まずは率先垂範せよ!
一.自ら活動して他を動かしむるは水なり
(意味)自ら動いて模範を示すことによって、周囲を牽引しよう。
水は自らが流れていくことによって、周りの物を動かし、運んでいきます。
人間も、自らは何もしないままで、ああしろ、こうしろと言っても、誰も動くはずはありませんよね。
リーダーたるもの、まずは『率先垂範』あるのみ!ということですね。
水五訓② あきらめることからは何も生まれない
二.障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり
(意味)たとえ障害や壁があったとしても、その間に貯える力は増していくから、苦しい時もじっと耐えて努力を続けていこう。
順調に流れている、水の流れもダムという壁によって遮られることもあります。
そんな時は、水はその力を満々とダム内に蓄えます。
そういった蓄積された力があるからこそ、解放された時には、巨大なエネルギーを発揮し放流されます。
あなたは困った時に、すぐに諦めていませんか?
人間も、困難に直面した時に、自分の可能性を諦めてしまってはいけません。
苦しい時もじっと耐えて努力を続けていけば、将来大きな力となって必ずかえってきます。
まずは、出来ることから取り組んでいきましょう。
水五訓③ 自ら考えて道を拓け!
三.常に己の進路を求めて止まざるは水なり
(意味)流れを止めることなく、信じた道に向かって動き続けていこう。
水はどんな環境の中でもその流れを止めることなく流れていきます。
あなたは、何か失敗をした時に、周りのせいにしたりしていませんか?
他人のせいにするのではなく、自ら考え、努力することで自分の道を切り拓いていこう!
そして、自分が決めた道は、迷い止まることなくどんどん進んで行けば良いという教えです。
水五訓④ 人を追いやることはせずに共に頑張ろう!
四.自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり
(意味)嫌いな人だからといって、その人を追いやったりせずに、良いところを見つけて共に頑張ろう。
川の流れをイメージしてください。
川は、脇から濁った水が注がれてきても、「入ってくるな」とか「出ていけ」とは言いません。
さまざまな水を一つにまとめ流れていきます。
社会にはさまざまな価値観を持つ人が集まっています。
あなたとは、感覚やリズム、方法、価値観の合わない人ってたくさんいますよね?
でもそういった人を排除するのではなく、「長所をみつけてそれを生かす」ことをまず考よう!
そして、自分の大きな目的に向かって集約していくような、そんな度量がリーダーには必要ですね。
水五訓⑤ 柔軟に変化への対応をせよ!
五.洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり
雪と変じ霰(あられ)と化し凝(ぎょう)しては玲瓏(れいろう)
たる鏡となりたえるも其(その)性を失はざるは水なり(意味)性質は変わらないが、温度は変わるし、入れ物を変えればカタチも丸や四角に変わるのが水。与えられたか環境の中で、いかに柔軟に変化し成長できるかが大切。
水は季節、温度の変化や、器の形によって次々と自らの形を変えていきます。
しかし、気体、液体、固体に変化しながらも、その本質は一切変化することがありません。
人間もまた、変化に対応するのに常に柔軟でなければいけません。
自らが与えられた環境の中で、いかにして最大の努力を行えるかが大切ですよね。
水五訓 まとめ
黒田官兵衛の「水五訓」いかがでしたでしょうか?
戦国時代という乱世を生き抜いた、黒田官兵衛が導き出した数々の教えですが、今、この時代を生きている、どんな立場の人にも響く言葉ではないでしょうか。
黒田官兵衛も晩年、その名前を「如水円清」にあらためます。
水の如く生きていく。
ただ流されるのではなく、時に柔軟に、時に強く、そうありたいですよね。
これから先、色んな困難にぶつかり、迷うことや立ち止まることもあるでしょう。
そのときにはこの「水五訓」を思い出してみてください。
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
黒田官兵衛のことをもっと知りたい方へおすすめの本
播磨灘物語
■著者:司馬遼太郎 全4巻
『播磨灘物語』は膨大な資料を引用して作られた歴史小説で、黒田官兵衛だけでなく、彼を取り巻く周辺状況や、彼に関連する諸大名との関係が知れます。
黒田如水
■著者:吉川英治
『黒田如水』は、彼の人生における重要な事件のみ描かれ、軍師として活躍した黒田官兵衛に関する内容は書いてありません。
ですが、黒田官兵衛の人生の分岐点となった重要な事件を詳細に知ることができます。
軍師の門
■著者:火坂雅志 上下巻
物語のはじめは、黒田官兵衛の青年期から始まり、軍師として活躍して自分の名前を有名にしたい彼の野望や自分の生き方を模索する様子が描かれています。
後半になると黒田官兵衛が軍師として成長して活躍しながらも、彼の軍師や策謀に対する考え方を理解できます。